彷徨い果ての氷心

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長閑とは云えない外の景色を窓の端から眺めるのは主の瞳の色に酷似した長い髪を卸している男 正しくは斬魄刀が具現化した果ての姿で在る 男は唯、窓の外に感慨深い目線を向けたまま口を開かず立っている 別段、窓の外に何かが在るから眺めているのと言う訳ではない様。 窓の外、眼前に映るであろう物、それは、斬魄刀が自ら刀を振るい、深く深く、爪痕を残し、それを復興へと導く死神の姿。 言い知れぬ罪悪感は、喩え、主が許しを己に渡したからと云って消える物ではない。 心の中を駆け巡っている。 だから、他の斬魄刀とは違い、人一倍気を遣い、仕事熱心な主に声も掛けず、疲れるだろうが常に霊圧を消し、黙したまま一定の距離を保って寄り添うのだ。 せめて、邪魔に為らぬようにと言う細心の気遣いを添えて。 ,
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