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(あいつを巻き込んではだめだ…。)
稔麿は先程まで居た部屋の隣の部屋に入った。
俺は松蔭先生の為に、命を懸けてでも倒幕しないといけないんだ。
その為に、沢山の人間を殺め(アヤメ)てきたんだ。
邪魔する奴は仲間でも斬ってきた。
俺の手は血で汚れ(ケガレ)ている。
汚れをしらないあいつには触れる事はできないんだ。
それに…もし俺達と関わっている事を新撰組の奴らに知られたら?
あいつは俺達の事をばらす様な事はしないだろう。
しかしあいつは罪人扱い。
拷問を受け、屈辱も皆受け止めて散っていく。
あいつにはそんな事させたくない。
今まで人にこんな想いを抱いた事はなかった。
でもあいつだけは違うんだ。
たった二回しか会っていないけど、あいつといると穏やかな、暖かい気持ちになれる。
安心するんだ。
何も知らないあいつの事を…俺は好きなのか?
でも、俺と居ると不幸になる。
あいつを…巻き込んではいけないんだ…。
だから俺は怒鳴るように言葉を発し、拒絶しているような態度をとった。
そしたらあいつの顔…。
涙を溜めて哀しそうに俺を見る。
悲しませたくないのに。
傷つけたくないのに。
あの悲痛の表情が眼に焼き付いて離れない。
俺は…どうしたらいい?
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