第 弐 章

3/8

2082人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
          サァァァ――…     冷たい風が吹き、木々の葉を揺らす。       「寒っ…。そろそろ寝よう。  翠、行こう。」     少女は寒さに耐えきれなくなり部屋に戻ろうと腰をあげる。     しかし翠は塀をただ見つめて動こうとしない。         「翠…?」       少女の呼び掛けにも反応せず塀を見つめる翠。   少女はしかたなく抱き上げようと手を近づける。       「ミャア。」     「あっ翠!」       少女の手が触れようとした瞬間、翠は一鳴きし先程まで見ていた塀に向かって歩きだし、ヒラリと身軽に塀を飛び越え見えなくなってしまった。       「ちょっ…翠!!」       少女は慌てて裏口に回り、翠を探しに路地へ出た。        
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2082人が本棚に入れています
本棚に追加