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「ミャア。」
「あ?」
呆然と月を眺めていた稔麿は猫の鳴き声に思わずびくつく。
鳴き声がした足元を見ると、黒い毛並みに珍しい翠色をした猫がいる。
ただジッと稔麿を見つめている。
「お前、俺の行く手を阻むのか?
俺は猫でも邪魔な奴は斬るよ?」
稔麿は軽く殺気を放ち刀に手を添える。
黒猫は殺気を感じたのか耳をピクッと動かしたが、それでも稔麿を見つめ、退けようとしない。
稔麿はハァと溜息を吐き、刀を鞘から抜き斬りかかろうと片足を前に出した瞬間、後ろから女の声がした。
「ちょっと待って下さい!」
そう言いながら走ってきたのは先程の少女だった。
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