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「なぜその子を殺すのですか?!」
走ってきた少女は息切れをしながら稔麿に問う。
「こいつは俺の行く手を阻む。
邪魔な奴は斬るもんだろ?」
「そんな…。」
稔麿の答えに少女は愕然とする。
それもそのはず…。
足元に猫がいるからといって避けて通れないほど狭い道ではない。
「その子は私の友達なんです!
どうかお願いします。
その子を殺さないで下さい…。」
少女は瞳に涙を溜めながら頭を下げ請う。
そして稔麿はそんな少女を見てニヤリと笑う。
それは何かを思いついたような悪戯っ子のような笑みだった。
「ふーん。そんなにこの猫が大事なんだ?
なら君がその猫の変わりに
俺に斬られるならいいよ。」
「え…?」
(どーせ無理だろ。)
稔麿は少女が斬られる事を拒み、それを言い訳にして黒猫を斬るつもりだった。
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