第 弐 章

6/8
前へ
/163ページ
次へ
        少女は俯く。     (人間なんて所詮自分が大事なんだ。)     稔麿は蔑むように少女を見つめる。             「私が斬られればその子は  助かるんですね?」     俯いたままそう言い、少女は顔をあげ稔麿を見つめる。       「ならば私は命を差し出しましょう。」       そう言った少女の瞳は決意が込められ、凛とした表情だった。         「は…?」     少女の予想外な答えに稔麿は驚いた。           「君…馬鹿じゃない?  たかが猫の為に死ぬわけ?」     「私にとってこの子は友達です。  大切なヒトを守る為に  死ぬ事ができるのが人間です。」           少女の瞳には迷いはなく、ただ前を見据えている。 そしてその綺麗な瞳から目を逸らせないかのように稔麿も少女を見つめた。                
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2083人が本棚に入れています
本棚に追加