第 肆 章

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瑠璃は恐る恐る稔麿を見る。 そして稔麿も瑠璃を見つめる。 「君は…俺達と関わるべきでない。」 呟くように稔麿は言う。 「でも…」 「でもじゃない!!」 瑠璃が話そうとするのを、声を荒げて稔麿が阻む。 そして俯くようにして瑠璃から目をそらす。 (私は想いさえ言わせてもらえないの…?) 受け入れてもらえなくてもいい。 だけどせめて聞いて欲しい。 私は新撰組とか長州とか関係なく、ただ“貴方”を知りたい。分かり合いたい。 ただそれだけなのに…。 瑠璃の悲痛な心を表す様に、瑠璃は悲しい表情になる。 今にでも涙が流れそうに、瞳は潤んでいる。 「俺と関わると不幸になるだけだ…。」 稔麿の声が部屋に響く。 そして直ぐに、稔麿は高杉に送ってやれと言い、瑠璃を見ることなく部屋を後にした。 高杉は宥めるように瑠璃の背中を摩り、落ち着かせるようとする。 その優しさが痛いほど伝わる。 「帰ります…ね。」 これ以上迷惑をかけられない。 瑠璃はぐっと涙を堪え、立ち上がり、障子に手をかける。 「送るから。」 高杉も立ち上がり、瑠璃と一緒に部屋を後にした。                  
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