第 壱 章

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        ――ガラッ。       「ただいま~。」       屯所に着き、玄関の戸を開け中に入る原田と永倉。       「おかえりなさい。原田さん、永倉さん。  随分早かったですね?  逃げられたんですか?」       ニコニコと笑みを浮かべて二人を出迎えたのは、長髪で優男といえる中性的な顔つきの男。     新撰組一番隊 組長、沖田総司。       「うっせー総司!」   「はぁ…。  俺は副長に報告してくる。」       永倉は吐き捨てるように呟き、そのまま奥に入っていった。           「あらら。永倉さん相当お疲れですね?」   「あれだけ走れば疲れるっつーの!」   「私、二人がどれだけ走ったかなんて  知りませんもん。」     アハハと笑いながら総司は原田をからかう様に言う。       「お前なぁー…。」   「それより、原田さんも  土方さんの所に行かなくて  いいんですか?」   「報告は新八っつぁんが  してくれるからいいだろ。  俺ねみーよ。」   「まぁ原田さんが行っても  意味なさそうですもんね。」     総司の言葉にカチンときた原田だが、疲労もありこれ以上疲れたくないと思ったので、総司の言葉を無視し部屋に戻って行く。      一方原田が怒ると思った総司は予想外の反応にきょとんとし、呆然と原田の後ろ姿を眺めていた。        
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