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原田と総司が話している頃、永倉は副長の部屋の前に来ていた。
「土方副長。永倉です。」
「ん?あぁ、入れ。」
永倉は土方の了承を得て部屋の中に入る。
部屋の中には長髪を軽く結っていて切れ長の瞳(メ)をした美丈夫な男が一人。
新撰組の鬼の副長、土方歳三。
「んで?どーだったんだよ。」
「情報通り長州の攘夷志士が四名いましたね。
三名は殺しましたが…。」
「ちっ。吉田には逃げられたか。」
永倉が最後まで言わなくとも土方には言おうとしていた事が解った。
「奴は相当の剣の腕ですよ。
しかも頭がキレる。
俺と左之が二人でかかっても傷を
一つつけるのがやっとでしたからね。」
「そうか…。
まぁ怪我したのなら次に何か起こすのは
当分先になるだろ。」
そのまま土方は休めと言い、永倉は頷き自室に戻って行った。
永倉が出て行き、一人になった土方は眉間に皺を寄せていた。
そして土方の呟きが部屋にそっと響く。
「吉田稔麿…。」
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