第 壱 章

6/7
2082人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
          場所は変わり、人気のない裏路地。 原田と永倉が先程までいた場所。         その裏路地にひっそりと佇む黒い影。 そしてその影は月の光によって照らしだされる。         そこに居たのは漆黒の艶やかな髪、狙った獲物を逃がさないとでもいうような鋭い眼の男。       正しく原田と永倉が追っていた人物…。   ――吉田稔麿。         「あーあ。腕に傷がついちゃった。」       刀を握っている右手からはポタポタと黒光りした液体が滴り落ちている。         黒光りした稔麿の血液。       その流れる多さは傷の深さをものがたっている。       しかし稔麿は自分の躯から流れる血を見て口元を吊り上げニヤリと笑っていた。          
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!