第 壱 章

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          「ついつい遊んじゃった。」       口元を吊り上げたまま稔麿は呟く。 稔麿にとって新撰組との殺り合い(ヤリアイ)は遊びでしかない。 事実、原田の槍から受けた傷を何とも思っていない。           「うーん。でもこのままじゃ  さすがにまずいかな?」         今だに止まらない血…。 止血をしようにも包帯も何もない。         「何処かの旅籠(ハタゴ)に行くしかないかな。」       そして稔麿は近くの旅籠を目指して歩きだす。 歩きながらふと空を見上げれば神々しく光る月。           「今日の月は綺麗だねぇ。」         月に見とれてしまった稔麿は歩みを止めてしまった。       そこは【天乃屋】(アマノヤ)と書かれた看板を掲げた甘味屋の前だった。          
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