来客②

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「どこ行くと?」 「蛍が俺のベッド使ってるから、違う部屋で寝るんだよ。」 ちょっと無愛想になってしまったが、この場合仕方ないだろう。 「佐藤、ちょっと来て。」 「何だ?」 「手、出して。」 「こうか?」 言われるままに右手を差し出す。 「逃がさん。」 そして、ガッシと手を握られた。 「何してんの?」 「手ぇ握っとると…」 それは、見れば分かりますとも。 「何でだ?」 「佐藤が…どこも行かんように…。」 その時、蛍の声色が少しだけ変わった気がした。 カッチカッチと、部屋においてある時計の針が時を刻む音だけが部屋に響く。 「………。」 「………。」 「ふぅ、分かったよ。 俺はどこにも行かない」 軽くため息をついて、できるだけ優しく微笑む。 普段、こんな表情をする事が少ないから上手く笑えてるか心配だ。 「……うん。」 蛍は小さく頷くと、握っている手に、キュっと力を入れてきた。 「襲われても文句言うなよ…」 「大丈夫…佐藤はそがん事しきらんけん…。」 よく分かってらっしゃるww
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