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その瞬間、ふわりと頬に柔らかい何かが触れる感触がした。
何と言う事でしょう、赤面した蛍が俺の頬にキッスをしてくれたのです。
「………」
「…………っが」
蛾?
過去最高レベルの脳内餅つき大会を開催して固まっていると、蛍が変な声を出してきた。
「……っが、が、外国では単なる挨拶…」
ここは日本ですよ?
「餅を食わないか?」
「……餅?」
いやいや、何言ってんの俺!!違うだろ!!何で脳内で見事に出来上がった餅を差し出そうとしてんの!
もちつけ…もちつ…落ち着こうか…
「もぅち……も、もうちょっと長くしてほしかったな」
あるぇえ?何言ってるのかな俺は?
二人の間に流れる沈黙…
玄関から、双眼鏡を使ってこちらを観察しているTHE・おやじ。
いつからそこにいたのかな?
てか、この至近距離なら双眼鏡いらないよね?
「若いって良いことだね」
素晴らしい笑顔でサムズアップするな…
こうして俺はあまりの居心地の悪さに脱兎のごとく緑川家から逃げ出した。
後ろから、蛍が俺の名前を呼んだ気がしたけど、多分気のせいだろうと思う。
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