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「あーくそっ、結局だめだった。しかも今日はプリント解いて提出かよ」
掃除当番でもないのに、教室に一人ぽつんと残された花子。
流石進学校。みんな小テスト程度で、そう簡単に落ちやしない。
順位で言うと、中程の花子は、特に暗記が苦手な理系少女だ。
短時間で覚えられないくせに、家でも覚えて来ないのだから自業自得というわけだ。
「あ~英語意味わかんないし!ぜんっぜん進まない!」
ペンは文字を綴る事なく指の上で回転を繰り返すだけ。
時間ばかりが過ぎ去っていく。
「むーん…」
「あ、花ちゃん!」
「うわっ、武蔵。…って何でまた現れる?」
「小テスト落ちたんじゃないかと思って」
たいがい誰でも予測出来ただろうが、花子は図星を突かれて苦虫を噛み潰した顔をする。
「う、うるさい!お前のせいだろっ」
「だから来たんじゃないですか」
呆れたような表情の武蔵は花子の側まで歩み寄り、右隣の席に腰掛けた。
「近いよ。もっと別の席に…」
「そしたら問題教えられません」
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