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冗談を真顔で言うから物凄く怖いのだよ武蔵くん。
ひょろひょろしながら机に腰掛ける武蔵に、花子は思わず苦笑をうかべた。
「携帯あります?取りあえず家には連絡いれないと」
「あ、そうだよね、オッケー…」
そうか、ここに泊まるのか…って何その冷静さ。
七不思議なんか当たり前にある学校だよ?
しかもよりによっての生物室だよ?
音楽室のベートーベンとならぶ人体模型があるんだよ?
ここで過ごすなんて、どんな根性をもってしても…
「絶対無理!!」
「何が?」
「あ、いや、独り言」
あははとごまかすように笑って、ポケットから携帯を取り出す花子。
メールを打つ手が微かに振るえ、落ちてゆく陽に焦りを覚える。
オタク、二人きり、お化けの三大恐怖が花子を襲う。
(やば、マジで振るえ止まんない…)
「もしかして、怖い…ですか?」
「マッ!まさか!」
「声裏返ってますよ」
「~~っ」
くすくすと笑みを零す武蔵は、パタンと見ていた携帯を閉じて、少しこちらに迫ってくる。
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