封鎖空間

4/15
62人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
 冗談を真顔で言うから物凄く怖いのだよ武蔵くん。  ひょろひょろしながら机に腰掛ける武蔵に、花子は思わず苦笑をうかべた。 「携帯あります?取りあえず家には連絡いれないと」 「あ、そうだよね、オッケー…」  そうか、ここに泊まるのか…って何その冷静さ。  七不思議なんか当たり前にある学校だよ?  しかもよりによっての生物室だよ?  音楽室のベートーベンとならぶ人体模型があるんだよ?  ここで過ごすなんて、どんな根性をもってしても… 「絶対無理!!」 「何が?」 「あ、いや、独り言」  あははとごまかすように笑って、ポケットから携帯を取り出す花子。  メールを打つ手が微かに振るえ、落ちてゆく陽に焦りを覚える。  オタク、二人きり、お化けの三大恐怖が花子を襲う。 (やば、マジで振るえ止まんない…) 「もしかして、怖い…ですか?」 「マッ!まさか!」 「声裏返ってますよ」 「~~っ」  くすくすと笑みを零す武蔵は、パタンと見ていた携帯を閉じて、少しこちらに迫ってくる。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!