封鎖空間

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「なんか、お腹すきますね」 「まだ大丈夫」 「…今日はお風呂入れませんよ」 「臭いってこと?失礼だな」 「ふふ、違いますよ。そうだ…今晩は宿題教えてあげましょうか?」 「え?マジ?やったぁ!!」  調子のいい花子は同じようにして壁にもたれ掛かかった武蔵に、満面の笑みを浮かべる。 「さ、ちゃんとお家に連絡してください」 「はいはーい」  これはラッキーと、早速メールを打ち始めた花子は、いつの間にか手の震えが止まっていたことに気が付いた。  そして、はっとする。もしかして、わざと話をそらしてくれたのか。  ちらりと見上げた武蔵は、何事もなかったような顔をして、窓から外を眺めている。 「…武蔵って…」 「はい?」 「……いや、何でもない」  何気にいつも優しいよな。  携帯をポケットにしまい込み、その場に腰を下ろした花子。  それを見た武蔵が、ぎょっとして花子に指をさす。 「は、花ちゃん…!?」 「何よ」 「ううう後ろ!ゴキ…ゴキっ…」 「ゴキ?」  ブンブンと首を縦に振る武蔵に、花子は怪訝な表情を浮かべて振り返る。
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