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武蔵はオタク、武蔵はオタク、武蔵はえくぼ、武蔵はオタク……。
「あ」
ふと、思い出したようにカバンをあけた花子。
ごそごそと手を突っ込み中身を探る。
「んーと…、確か今日のおやつが…あ!あったあった!」
しばらくして、ジャーンと取り出したのは、くしゃくしゃのビニールに包まれた、潰れたカレーパン。
それを見た武蔵は驚いたようにして、あからさまに目を見張った。
「そ、それ、今日の?」
「当たり前でしょ、今日のおやつだもん」
「そっか、今日のか…」
残念な物でも見るような目で、折角の食料を見つめる武蔵。
まぁ、その反応も分からなくもない。
教科書の下で潰され、揉みくちゃになったそれは、かろうじてはみ出る具からカレーパンと分かるくらいで、とてもイビツな形をしているのだ。
「花ちゃんは見たままの人なのですね」
「なんか言った?」
「いえ、何でもないです」
呆れ顔を通り越して、天国でも見てきたかのような顔の武蔵は、あははと笑って頷いた。
「?……まぁいいけど。どうする?食べる?」
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