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「うん!潰れてても美味い美味い!」
「ふふ…」
「?…どうかした?」
「いや、幸せそうな顔して食べるなぁ…って、ね」
「ばっ…!馬鹿言うなよな!武蔵のくせに」
「またまた…あ!」
「な、なんだよ」
声を上げた後、軽く目を見張って花子の口元を凝視する武蔵。
怪訝に眉を寄せた花子が、何か顔についてるのかと手を伸ばしかけたその時。
すっと伸びてきた武蔵の指が頬を掠め、頭をとらえ、そして…―。
ペロッ…と舌が口の端を這う。
間近に迫った武蔵の顔。
唖然とする花子をよそに、ほけっとした顔の武蔵が、もう一方の手で舐めた花子の口端を拭った。
「付いてましたよ」
「あ…んた、今…」
「はい?」
「な、な、な、な」
「舐めましたねぇ」
「……!!!」
何なんだ、そのなんでもないような態度。
声にならずに、口の開閉を繰り返す。
ん?と微笑む武蔵を上目使いに睨めば、ややあって武蔵が頬を染め、恥ずかしげに俯いた。
「……大人の余裕を見せようと思ったんですが、やっぱ照れますね」
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