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縁側に片膝を立て座り、柱に寄り掛かっている男がいた。
男は短刀の柄の部分を指で擦るように何度も撫でている。男を知っている人ならば驚くであろう優しい顔付きをして…。
柄の部分には、歪な桜の花が彫られていた。
「いたいた 土方さーーん」
バタバタ と足音を立てて男に近づいてくる青年。
土方と呼ばれた男は、ゆっくりと視線を柄の部分から近づいてくる青年に移した。
「何だ? 総司」
「ちょーと 待って下さい… 近藤さーん こっちこっち!」
総司と呼ばれた青年は、後ろを振り向きこちらに向かって歩いている男を手招きしている。
土方は立ち上がり、さっ と短刀を懐に入れ怪訝な顔で口を開く。
「近藤さん? 何かあっバサバサッッ!!!ドンッ
「何奴!!!!」
総司と近藤は音がした瞬間、腰に指していた刀の柄に手をつけ土方は声を出した。
縁側から少し離れた所に生えている木から人間が現れたのだ。
三人は、そっとその人物に近寄り目を丸くする。
そこには、茶色い髪を両耳の位置で二つに結わいて、見たこともない着物を来て気を失っている女子の姿があった。
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