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「鈴!こっちこっち」
「ちょっと待って 雛」
左手を雛菊の左手で引っ張られている為、少々走りにくい鈴蘭。
「ひ、ぶっ!雛 急に止まらないで…」
雛菊が止まった事に気付かなかった鈴蘭は、雛菊の後頭部に思いっきり顔面をぶつけた。
「ゴ、ゴメンね 鈴 あっほら!咲いてるでしょ?」
「……わっ」
雛菊より一歩前に出て辺りを見渡すと、花壇一面に色とりどりな花が咲いていた。
「そこの花、鈴が前見に来た時は蕾だったけど、ようやく開花したん! その時鈴、残念がってたから… 早く知らせたくって」
悪戯がバレた幼子のように、舌を出し頬を赤く染めている雛菊に、鈴蘭は優しく微笑んだ。
そして、視線を花に戻すと雛菊に訪ねた。
「かわいい… 確か名前は【勿忘草】?」
「うん 花言葉は【私を忘れないで】」
そう言うと、鈴蘭の隣に来て中腰に花を見る。
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