槍水仙

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「名前と花言葉の由来は結構有名でね 青年騎士が恋人にこの花を摘もうとして河に落ちちゃったの」 その言葉に鈴蘭は顔を上げ雛菊の方を見る。 雛菊は、じっと花を見て話を続けた。 「騎士は最期の力を振り絞って、その花を恋人に投げ【私を忘れないで】と叫んだんだって 恋人はその言葉を守り生涯放さず、騎士の事を忘れなかったそうなの」 話終えると雛菊は、ようやく鈴蘭の方に顔を向け微笑んだ。 「その伝説にちなんだ、名前と花言葉なんだって」 「凄い… でも、」 「でも?」 きょとんとした顔で聞き返してくる。 「雛、日本史とか世界史苦手なのによく覚えられたわね」 「花と授業は別だもん」 むすっとして雛菊は反論してきた。 「似たようなものなのに…… あっ!そうそう 咲いたといえばこっちも開花したんだっけ 家の周りにえっと…何だったかな…雛、咲いたら教えてって言ってたじゃない?」 最初の言葉はムスっとした顔だったが次第に目を輝かせていた。 「【連翹‐れんぎょう‐】!!?」 ざわっ 雛菊が言葉を発したとき、風が吹いた。 どこか、懐かしくて温かい…優しい風……。 すぐに風はやんだ。 二人は何故だか、泣きそうな顔で互いの顔を見て戸惑っていた。  
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