第三章 現実

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2008年11月21日 私はさとしを抱きえかかえたままずっと名前を叫んでいた しかし返事はなかった   なにやら私の携帯が光っている 着信ありと表示されていた   さとしからかも   私は再生した   「留守番電話に接続します」 ピーッ さとしの声「さゆり?さとしだけど…さっきはごめんな今日は二人が付き合って3年目の記念日なのに…そしてプロポーズの約束の日!」   覚えてたんぢゃん…バカ   私は泣いた   さとしの声「忘れてるフリしてごめんな…ちょっとさゆりを驚かせようって思ってさ!さゆりに昔プロポーズした公園で待ってるから!ずっと待ってるか…キィ―――…ドンッ…ガチャン」   車の急ブレーキの音 さとしがはねられる音 携帯が落ちたときの音 すべてはっきり残っていた   さとしはひき逃げされていた
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