放課後 *短編

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  サッカー部の部室の明かりをつけると、そこはバスケ部の方と対して変わらず臭くて散らかっていた。 「んっんんっ!!」 声はどうやら部室のすみのロッカーから聞こえていて、俺は一気に一番奥のロッカーの扉を開けた。 中にいたのは、可愛い…一瞬女かと思うような小柄の男。 胸がペタンコだから男と分かったけど。 なんですぐ胸がないって分かったかっちゅーと、その男はまっ裸だったからだ。 この真冬のクソ寒い中、体操服の短パンと靴下片方というワケの解らん格好に、口に押し込められたタオル。 後ろ手にしっかり縛られたロープ。 その可愛い華奢な男は、俺と目が合うと大きな目に涙をためて安心した表情を浮かべた。 俺はとりあえず口のタオルを外した。 「はあっ、良かった、人が来てくれてっ」 そいつは嬉しそうに笑顔でそう言った。
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