彼女と僕。

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午前十一時。僕は売店に居た。僕はある考えが思いついたのだ。僕の考えはこうだ! ①彼女の病室にお菓子やジュースを持って押しかける。 ②お菓子を食べながら泣いていた理由を聞く。 ③理由を聞いた僕が慰める。 ④あわよくばHappy End。 みたいな感じだ。 だがここで問題が発生した。 彼女が好きなお菓子がわからないのだ。そこで売店にあるお菓子を一通り買って行く事にした。もちろん僕の財布はすっからかんになった。でも、彼女が喜んでくれたらオールオッケーだ。 お菓子とジュースを両手いっぱいに持って歩いていると後ろから声をかけられた。慌てて振り向くと看護士の山本絵理さんが立っていた。 この人は顔やスタイル面では美人なのだが、注射を射すのがかなり下手で、人の腕に何度も注射を射すのだ。『病人殺しの天使』などと呼んでいる人も居る。 「あれ~?一輝くん。そんなにお菓子を持って何処に行くの?あぁ!もしかして私への差し入れ!」 なんとまぁ~陽気な人だ。 「違いますよ。ちょっと人に会うので。あぁ!でも一つぐらいなら良いですよ!」 僕がそう言うと「ラッキー♪」っと言って絵理さんはチョコレートを持って行った。 「じゃあ私は仕事に戻るね。あぁ!あと、甘い物の取りすぎは駄目だよ!じゃあね~♪」 まぁ~何と言うか最後まで陽気だ。 それから数歩歩いて彼女の居る205号室に着いた。いざ病室に着くと中々ドアを開けれないものだ。それでも勇気を出してドアに手をかけて開けると、 「こんにち、は?」 ドアを開けた僕の目に飛び込んできた彼女は、窓の外を見ていた。その姿はまるで外の世界を知らない漫画のヒロインの様に。僕は彼女の病室に居るのに、まるで僕が居ない様に彼女は僕を無視している。いや、彼女は僕にきずいていないのだ。 その間僕は彼女に声をかける事が出来なかった。
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