中庭と本屋。

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次の日の夜。10時になる30分前。僕は梓ちゃんに頼まれた、人間失格を書いに行く為中庭に居た。中庭には外へと通じるドアがあり、そこを使えば簡単に病院を抜け出せる。 「よし!誰もいない。」 外に出た僕は本屋に向かって走り出した。本屋までは走って10分といった所だ。走っている途中、すれ違う人の視線が鋭い。それもそのはず。僕の今の格好はスエットだ。看護士などにばれない為にスエットで出て来たのだ。人の視線をかわしつつ、ようやく本屋に着つくと、閉店まじかとあって人影は少ない。急いで目的の本を探すと、レジに向かった。この時間と、この格好だけあって、レジの人にまじまじと見られた。 無事、本を買って病院に帰ると、もう、10時を済んでいた。 「やばいなぁ~。」 そう言って出て来たドアに手をかけると、思った通りドアは開かなかった。 「はぁぁ…。」 こうなると正面突破しかない。でも、これにはリスクが多い。第一に看護士に見つかりやすい。それでも意を決して正面から入ると 「…!!」 思った通り見つかってしまった。 「あれ~?一輝くん。こんな時間にどうしたの?」 声の主は絵理さんだ。 「あのぉ~。そのぉ~。なんと言うか。」 そこに自動販売機が目に入った。 「そうそう!ちょっと飲み物を!」 僕は精一杯自動販売機を指差した。 「あぁ~そっかぁ~♪でも、夜更かしはダメだぞぉ~!それに早く寝ないと大きくなれないぞぉ~♪」 「はぁ~い。おやすみなさい。」 そう言って、僕は小走りで梓ちゃんの病室に向かった。不幸中の幸いか、見つかった看護士が絵理さんで良かった。 「入るよぉ~♪」 一言断ってから梓ちゃんの病室に入った。 「あれ?」 梓ちゃんは既に寝ていた。ダイエットのことや、僕が今晩、本を届けに来ることなんてすっかり忘れてグッスリ寝ていた。
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