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僕は次の日、いつものお菓子を持って梓ちゃんの病室に行ことしていた。今度こそ、あの疑問を解決する為に。
「入るね。」
梓ちゃんの病室に入ると、梓ちゃんは昨日僕が買って来た人間失格を読んでいた。
「おはよう一輝♪この本ありがとう♪」
梓ちゃんは本に栞を挟むと、ニッコリ笑って御礼を言ってくれた。これだけで僕は本屋まで行ったかいがあった。
「これぐらいならいつでも言って!いつでもお使いに行くから♪」
それから僕と梓ちゃんはくだらない話をした。ダイエットの話、昨日の本屋までの話、梓ちゃんの話だと、ダイエットはもう止めるそうだ。そんなたわいもない話をした後、僕は自分の病室に戻った。
「はぁぁ~あ。」
僕は自分が情けなくて溜息をはいた。どうやってもあの疑問は聞けないのだ。そもそも梓ちゃんのあの笑顔を見たら、こんな疑問、聞けるはずがない。
それから来る日も、来る日も、梓ちゃんのお使いに行った。森絵都さんの蘭や、あさのあつこさんのThe MANZAIの最新巻、はたまた橋本紡さんの空色ヒッチハイカーなどを買いに行った。そして来る日も、来る日も話をした。けど、今だにあの疑問は聞けずじまいだった。そんな時だった。僕の病室のドアが2回叩かれた。
「失礼しまぁ~す♪」
そう言って入って来たのは幼なじみの雪崎岬だ。
「よう岬♪元気そうだなぁ!」
「一輝は病人だけどね♪」
なんて馬鹿みたいなやり取りをした。そして僕はあることを思い出し、梓ちゃんと同じ女子の岬に聞いてみることにした。
「あのさぁ~岬。聞かなきゃいけないのに聞けない時ってどうすれば良い?」
「そうだなぁ~、聞く内容にも選るけど、本当に大事なことなら相手が言って来るのを待つしかないよ。」
「そうか。ありがとう。助かったよ♪」
それから僕と岬はくだらない話をして時間を潰した。
夜の7時近くになって岬は帰ると言い出した。
「じゃあ!またね一輝♪あっ!そうだ一輝!さっきの話だけど!」
「さっきの話?」
「ほら!聞かなきゃいけないことがあるってこと!相手がなかなか言い出さない場合はそんなに大事な話じゃあないんだと思うよ♪じゃあ!ガンバッて♪」
そう言って岬は病室から出て行った。
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