悲劇と病院。

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「はぁ~。」 僕は『伊庭一輝』と書かれた自分の病室で溜息をついていた。何故僕がこんな所に居るかと言うと、夏休みの初日、つまり今日。朝から肺炎で倒れたからだ。咳が出て怠いと思ったら、呼吸困難で倒れてしまった。医者の先生が言うには 「一ヶ月は入院してもらう。」 そうだ。 これが夏休みの最終日なら喜んで入院しただろう。だが今日は不幸なことに夏休みの初日だ。夏休みがまるまる入院で終わってしまう。何て不幸なんだろう。世界広しと言えど夏休みの初日に入院するのは僕ぐらいのものだ。 「最悪だ!悲劇だ!不幸だ!」 いくら叫んでも虚しいだけだ。 僕は自分の携帯は取り出してメールを打った。 『夏休みの初日の今日、伊庭一輝は見事に入院しました。どうかお見舞いに来て下さい。』 こんなメールを友達全員に一斉送信した。どうせ来てくれる友達は少なくだろう。なんせ夏休みだ!みんな旅行に行ったり遊びに行ったりとなにかと忙しい。 メールを送って一時間後。なんと意外に二人の友達が訪れた。なんと言うか、僕はここまで想われていたのかと、今更らがら感激した。友達と一時間ぐらい話すと、 「お大事に!」 っと、言って帰って行った。それから暇で暇でしょうがなかった。 でも、本当に暇なのは夜だった。消灯時間の十時には電気が消えてしまい、やる事が無くなってしまう。僕はいつも一時から二時に寝ているので、十時に寝るのは少しきつい話である。 「さて、何をしよか?」 やる事が無いので、仕方なく滅多にしないモバゲーで時間を潰した。 こんな暇な日が二・三日も続いたが、あの日だけは違っていた。そうあの日から僕の退屈な毎日が変わったのだ。
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