病院と彼女。

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寝たのは良いが、昼寝をしたせいで中途半端な時間に起きてしまった。時計を見るとちょうど深夜の二時だ。 「喉が乾いた。」 そう言って冷蔵庫を開けると、中には何も入っていない。 「しまった。朝に飲みすぎた。」 今日いや昨日は咳が酷くてやたらと飲み物を飲んでいた。その事を今更後悔する。 「買いに行くか。」 僕はそう言って自動販売機を目差した。 自動販売機でスポーツドリンクを買って帰る途中、病室は暑いから中庭で飲もうと思いついた。中庭にはベンチがいくつかあり、何本かの木も生えていて僕のお気に入りの場所だが、人が多いので滅多には行かない。だが今は深夜の二時。絶対に誰も居るはずがない。そんな事を考えている内に中庭に到着した。ドアを開け中に入るとベンチに誰かが居る事にきずいた。初めはお化けかと思ったが、どうやら違ったようだ。僕は少しずつその誰かに近づいた。まずは女の子、その後に泣いている事がわかった。僕は少し考えた後、声をかける事にした。 「あの~君、どうしたの?」 「ぐすん…。ぐすん…。」 彼女は泣いていて答てくれない。僕は少し困ってから考えついた。 「ぁあ!ちょ、ちょっと待っててね。」 僕はそれだけ言うと走りだした。そして自動販売機の前に着い。 「お茶お茶。」 すぐに財布を取り出して小銭を出した。余りに急いでいて小銭を何枚か落としてしまった。落とした小銭にを拾った僕はお茶を買い彼女の所に急いだ。 案の定彼女はまだ泣いていた。僕は彼女の隣に座り、お茶を差し出した。 「飲みな。落ち着くよ。」 すると彼女は徐々に泣き止み、こちらを向いた。 「ありがとう…。」 今にも潰れそうな声で彼女は御礼を言った。その後僕は、彼女が落ち着くのを待って声をかけた。 「あの~。何で泣いてたの?」 「…。」 彼女は黙ったまま何も話そうとしない。 「ぇえ~と、名前聞いてもいいかな?僕は伊庭一輝。君は?」 僕はそう言って自分の名前を教え、彼女の反応を待った。 「音無…梓。」 ようやく話てくれた。よくは見れないが彼女の顔が月明かりで浮かび上がった。僕は一瞬ドキッとする。はっきりとは見えないがかなりの美人だ。 「音無梓か…。病室は?送っていくよ。」 「205号室…。」 「わかった。じゃあ行こうか。」 僕は内心ドキドキしながら彼女と歩いていた。歳は僕より二つか三つぐらい下に見える。身長が身長だ。150センチがあるか無い
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