水滴

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   入られた…!?  室内を見渡したが、居ない。 「社長、操作方法を説明しますね。電源の2つ下のボタンを長押ししてください」  ベッドの周りにも、居ない。 『この、F2ってやつかい?』  テーブルの下を覗き込んだ。やはり居ない。 「いえ、その右下です。」  室内をうろついたのか…?水滴を目で追うが、どこで途切れたのか検討がつかない。 『これを押して…何だか、見たことのない画面になったぞ』  念のため、ドアを開け玄関をそおっと覗き込んだが、やはり居ない。 「そこから、カーソルを3つ下げてください」  足元にある皿は、塩を盛った状態のままだった。 『カーソルってなんだい』  それどころじゃないんだよ、このクソオヤジ。 「右下に、矢印ボタンがありますよね?下に3回です!」  窓から、出て行ったのか…? 『なんだ君、その言い方は!分からないから聞いているんだろう!』  それどころじゃないって、分かんねえのか!! 「わかりました!今すぐそちらに向かいます!」  俺は川島社長の返答を待たずに通話を切り、スウェットをベッドに脱ぎ捨て、クローゼットを勢いよく開けた。  
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