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勤務先がなくなったから、私の身を案じて訪ねる同僚も、当然居ない。
妻は、居ない。パート先の店長とともに行方を眩ましてから、もう随分の年月が流れた。
子供は、居ない。子作りという共同作業を、妻が拒否し続けていたから。
私は、家族という2人の集団においても、孤独だった。
肉親は、居ない。父は、母と幼い私を捨て、消えた。私が物心ついた頃、母は自らの人生を断った。
友人は、居ない。友人というものが、存在したことはない。
私の周りに居たのは、私に関わろうとしない、私以外のニンゲンたちの群れだった。
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