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その日が俺にとっては、記念すべき始まりの日だった。
写真を見つめ、出来る限りリアルに想像する。自分がそれを食らう姿を…。それで、俺の食欲は満たされる。
俺は、あらゆるモノを食べまくった。
味を覚えている料理はもちろん、無料情報誌で紹介された、初めて目にするメニューだって、食べるコトが出来たんだ。
しかも、イメージしてた味と、実際に『食べて』みたのでは、ギャップがあったのには驚いた。
想像よりずっと美味い魚料理もあれば、食った瞬間に吐き出しそうになったラーメンもあった。
この4日間、俺は過酷どころか夢のような時間を過ごした。
そしてウチにある『食い物』は、あらかた食い尽くしたんだ。
俺はバイトしてた書店に出向いた。最後の給料を貰いに。そしてその金で、ガイドブックとレシピの本を買い込んだ。
それからはもう、グルメ三昧の日々だ。
いい加減、食い飽きた頃には、苦手な料理にもチャレンジしてみた。
ナマコだの、レバ刺しだの…結果、俺はただの喰わず嫌いだったって気づかされたんだ。
モツ鍋だけは、やっぱ受け付けなかったけど。
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