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「ぃい言っとくけど盗撮は犯罪だからね」
達也が、数少ない友人の中で唯一、精神的に優位に立てる相手――篠原のアパートを、達也は訪ねていた。
「警察にぼっ、没収されたら、べっ弁償だよっ」
「んなコトしやしねぇって。安心しろよ」
お前こそ、このCCD何のために持ってんだよ、赤外線までつけて――。達也はつっこみそうになった自分にブレーキを掛ける。キゲンを損ねたら、計画はパァだ。
「悪いな。バイト先でどうしてもって頼まれてなあ」
「達也君って、いい今なんのバイトしてんの」
「まあ、あれだ。詳しくは言えねえけどな…ほらあの、探偵みたいなシゴトだ。浮気調査とかするヤツ」
「ほっ本職なのに、撮影機材もっ、もっ持ってないのか」
「まっまあな。まだ開業したばっかみたいだから…。うまく行ったらお前も紹介してやるよ。きっと重宝がられるぞ。その知識や技術がな」
篠原はプライドをくすぐられたかの表情で言った。
「いっいいよ。…そっそれ…返すのいっいつでも、いっいっいいから」
篠原が言い終える前に、達也はカメラの一式を肩に提げ、立ち上がっていた。
「すまんな。助かったわ」
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