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モニターの中は、由美が一人いるだけだった。
いつものエビスをグラスに注ぎながら、左手で雑誌をめくっている。
風呂上がりなのだろう、この日は濃いピンクのパジャマ姿だった。
達也は他に人気がないことを確認し、とりあえず安堵した。
早送り。
立ち上がった由美が部屋の照明を消し、ベッドに潜り込んだのを確認した。
赤外線モニターで色彩の変わった画面を凝視しながら、達也はふと思った。
――相談したいコトって…何だったんだ。
気づくと、画面の右隅にあるドアが開いていた。
――いつの間に。
慌てて『再生』ボタンを押し、画面を見つめる。
由美は、こちらに背を向け寝ている。
侵入者と思しき人影は見あたらない。
しばらくその様子を眺めていた達也は、やがて『そいつ』がモニター上で見て取れた時、
「うわあっ」
と思わず声を上げてしまった。
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