タカシ

10/10
前へ
/270ページ
次へ
   平成2×年3月。  その交番に赴任して半年弱の若い巡査は、付近のアパートに越してきた大学生の相談を受けていた。 「見知らぬ女性から、ストーカー行為を受けている、ということですね」 「そうです。『タダヒロ』という人と間違われてるようなんですが…」  巡査は鉛筆の尻で額を掻きながら、言葉を続けた。 「うーん…。でも実際に、暴力であるとか嫌がらせなんていう被害を受けた訳ではないですよね? 事件性が薄いというか…」                        (了)  
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7287人が本棚に入れています
本棚に追加