自我

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   俺は、自分の顔が嫌いだ。  物心ついた時から、ずっと。  俺の顔は不細工だと、俺は認識している。そう認識せざるを得ない人生を送ってきた。  皆がルックスの話題で盛り上がる。例えば昼食後。合コンの席。  そんな時、会話の流れは常に、俺をスルーしていく。誰も、地雷を踏むことを避ける。  それが余計に痛いから、俺は自虐的なネタを披露する。…笑ってもいいんだ。そう認識した彼らの、連帯感を伴った笑い声が響く。  俺の面が不細工なんて、客観的に認識している。そう、今披露したギャグの通りに。  だが、諦めはつかない。つくはずもない。  俺の理想は、こんな面じゃない…。  
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