自我

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   テレビ画面に映し出された、あのキモい顔が俺の実体、そして真実。  鏡の顔は…俺の虚、幻、そして嘘。  俺は、鏡の中の男を睨みつけながら、確信した。  こいつは、俺の心と脳から発せられる命令、筋肉の動きを正確に読み取り、寸分違わぬ動きを見せる。だから、鏡として機能しているように思い込まされていたのだ。  こいつに、34年間も騙され続けていたのだ。  俺は今、それに気づくことが出来た。  そして、こうも思った。逆ならば、少しは気分的に救われたかもしれないのに、と…。  
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