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お昼のチャイムが鳴り、一斉にオフィス内の電気という電気が消される。省エネという事で、1分もの無駄な電気を使うなという上からの命令に皆素直に従っている。
まだもう少し続けたかったパソコン作業も、中断しなければならない。
奈々はため息をつきながら、ワード書類を保存してからパソコンの電源を落とした。
「相澤さん、お昼行こうよ」
いつも通り、隣のフロアにいる田島未来(たじまみらい)が声をかけてきた。
奈々の所属するグループには今のところ50代のベテラン職員が一人いるだけで、20代の若い女性といえば奈々だけだった。おかげで余計な同性の摩擦が起きなくて仕事はやりやすい。
「早く行かないと定食売り切れちゃうよね。面類は並ぶから嫌なんだよねー」
ブランドじゃないけれど自分のいいと思ったカバンをセレクトするのが好きな奈々は、シンプルなキナリの布バックから財布を取り出して食堂に向かう準備をした。
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