世界を救う第一歩 第0話

2/4
前へ
/169ページ
次へ
今、俺の目の前で小さな女の子がトラックにひかれた。 辺りに血が飛び散り、肉が四散し、女の子と呼べない程、それはぐちゃぐちゃに変形していた。 俺は、吐きそうになるのを堪える。 ドス! 俺の後ろで、ドラマとか映画とかに出て来そうな、人を刺す効果音がした。 振り返ると、そこには狂気に満ちた目をした若い男性がいて、手には血のついた刃物を持っていた。 その男性の前で、中年の男性が血を流して倒れていた。 若い男性は、中年の男性の懐を調べ始めて、財布らしき物を抜き取って、そのまま立ち去ってしまった。 目を覆いたくなる光景だった。 ―――ねぇ、どうして、たすけてくれなかったの? ゾクっと背中に悪寒が走り、俺はゆっくり振り返った。 うぁぁぁっ!! 俺は悲鳴を上げた。 そこには、顔がぐちゃぐちゃに変形し、手足があらぬ方向に曲がっている女の子が立っていた。 曲がっているはずのその足で立っている姿は、まるで化け物のようだった。 ―――たすけてくれれば、わたしはいきていられたのに 俺は恐怖のあまり後ずさってしまう。 トンっと背中に軽い衝撃があった。 壁にぶつかったと思ったが、すぐに間違いと気づいた。 ここに壁なんてないことに。
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加