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頭だけ後ろに向けると、さっきの中年の男性が立っていた。
っ!!
俺は驚いてその場から離れる。
その男性はまるで亡霊のように顔が青ざめていて、胸から血があふれている。
―――お前が助けてくれていれば、私は生きて家族に会えたのに。
悲しみや怒りもない無感情の声が、逆に俺の恐怖心をあおる。
ガシ!
―――!
腕にひんやりとした気持ち悪感触が襲い、俺は声にならない悲鳴を上げる。
感触がしたところを見ると変形した小さな手が俺の腕を掴んでいた。
この手はあの女の子の物だ。
ということは・・・。
―――おにぃちゃん。たすけてよ・・・。
!!!!
もう俺は大パニックを起こしていた。
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