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見覚えのある姿。
嗅いだことのない、煙草の匂い。
「王のいる城まで後少し。世界平和の敵を、今こそ倒す時だ」
互いの夢が叶った事を、俺だけが…僕だけが今知った。
久しぶりに会った友は昔と何も変わらなくて。
僕と違って、まだ、人間で。
「……リカ、無事でいてくれよ」
リオン、僕は王国を守る兵士になったんだ。
リオン、僕は君に会いたかったんだ。
リオン、今でも君は僕の親友だ。
ガラクタになった僕の近くに煙草が落ちる。
部隊を指揮する友の声が響き、人の波が僕の上を移動していった。
「…………」
あれ、おかしいな。
どうしてだろう。
……ああ、そうか。
「そうだよ。嗅覚なんて…とうのむかしになくしたじゃないか」
煙草の匂いがしない事に気付いてしまった。
馬鹿な話だ。
機械が感傷に浸るなんて。
一瞬、吐いた息が白く見えて…僕のメインカメラは完全に機能を停止した。
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