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「イヤ………ありがとう。」
鈴は満面の笑みで返す。
「………」
少女は見とれていた。
銀に輝く長い前髪のせいで、目元どころか鼻より上は全く見えなかったが、その笑顔は少女を惹き付けた。
「?…どうした?」
少女はハッ、と気付いた様な顔をすると、
「…なっ!…なんでも無いわよ!!」
と、大きな声で返した。
途端に教室中の視線を一人…イヤ、二人占めする。
そんな二人に、エアリィ導師から声がかかった。
「忙しい所に悪いが、次はお前だぞ?迷子少年。」
わざとらしい嫌味を口にする。が、それを歯牙にもかけない様子で、
「はぃはぃ。」
と返すと、鈴は立ち上がり教壇へと歩き出した。
「名前を言って、水晶玉に手を置け。」
教壇に着くとエアリィ導師が言う。
(加減はしとくか…)
鈴は考えながら水晶玉に手を置くと、淡々と言う。
「間上 鈴だ。」
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