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「そりゃ確かにすごいな。なんて名前なんだ?」
「お、やっぱ興味あるのか!? よく聞けよ、その名も──」
「ま、興味はないけどな。それじゃあ、俺はやることがあるんで先行くぞ」
何故か自慢気に言おうとする吉川を放置し、俺は鞄を持って教室をあとにした。
「お、おい幸人~~!」
───────
やることがある、と言ったものの、実際どうすればいいのかわからず、やたらと広い学園の敷地内をブラブラと歩き回った挙げ句、中庭らしき場所のベンチに腰かけていた。
それなら吉川についていけばよかったのかもしれないが、別に俺は学園生活を楽しむためにこの端山学園に来たわけではない。
俺には探し物がある。
この学園にあるのかはわからないが、何としても探し出してやるつもりだ。
缶ケリ大会なんていちいち参加してられるか。
さてと……まずは、学園の生徒の名簿に目を通してみるか……。
いや、そうだな。
さりげなく吉川にでも訊いてみれば済む話じゃないか。
吉川に多少からかわれたりするかもしれないが、この際しょうがない。
とりあえず、今日は金曜日だから、月曜日に訊いてみるか。
そう思い、ベンチから腰を上げた時──
───カーンッ!
どこからともなく、やけに軽い金属音が響いてきた。
刹那、円柱形の何かが俺めがけて飛んで……
「っとっと……なんだ……?」
なんとか顔面に直撃する前にキャッチしたそれは……
「……缶?」
これは、もしかしなくてもあれだよな?
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