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「何でこんなとこにいるんだよ? あたしが、那智さん――ビビコ先生のとこにでも甘えに行ってんだろうって? はん……大当りだ」
「違うんです、千尋さんが――」
「うるさい!」
あたしは頭を振って、聞く意思がないことを示す。何と言われても絶対耳を貸さない、昔からの合図。
「千尋についててめえらが怒るのは当たり前だ! だがな!」
あたしは肺いっぱいに息を吸って、でも那智さんに聞かれたくないからボリュームを考えつつ怒鳴った。
「那智さんとこまで来るなんて―――いくら何でも許さねえ!!」
びくっ、と2人が怯んだうちに、あたしは早足で立ち去った。
……道理だっていっても、ガキの喧嘩に第三者が入るのは駄目なんだよ、渚。
ガキ同士で解決するもんなんだよ、壱。
それが、あたしのルール。
………また、あたしが悪い?
あんたならそう言うだろう、なあ。
―――――兄貴。
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