1.ヒト

25/28
前へ
/119ページ
次へ
「――……あ?」 「火影!」 「あ――ああ、千尋」  気が付いたらベッドの中だった。あたしの部屋じゃないけど、見覚えはある。保健室か。周りには……千尋と、渚と、壱と……葛西と、あと仲嶺。  今にも飛びかからんとしている千尋を気にしつつ、体を起こそうとする。  しかし、左肩真横の位置にいた葛西に、片手で押さえつけられた。 「まだ起きるな」 「ッ……何だよ、葛西。どこも痛いとかじゃないんだから」 「尚更だ。頭あげんな」  ぐん、と顔を寄せた葛西に、慌てて身をひく。煙草の臭い。……ピース? 「なあ、葛西。おまえ……」 「あ、ごめん――ちょっと黙ってろ、火影。まず皆に説明とか、色々と」 「むぐっ!」  がふ、と今度は口を掴まれた。こいつ、さっきからあたしに容赦ないな……。  あたしをホールドしたまんま、葛西は皆に向いて話し出した。  
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加