1.ヒト

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 よく晴れた朝。  久し振りの、通学路。 「――――火影?」 「おお。千尋」  あたしは後ろから駆けてきた千尋に、目線だけで振り返る。  鳴海千尋。あたしの親友、もとい相棒。茶色がかったセミロングと、たれがちな眼が可愛い女の子。  ただ、本当にいい子だからこそ、つるむのには少し真面目すぎるのが難点だ。  現に、千尋はあたしの姿を見た途端、真っ青な顔で怒鳴り出した。 「火影! その格好……!?」 「あ、いや、まあ……ちょっと」 「ちょっとじゃないよ! また制服ぼろっぼろにして! 何やってたの!?」 「………」  あたしは反論せずに自分の服を見た。  ブレザーのボタンはほとんど無いし、裾はよれよれだし、スカートはずるっずる。  確かに、ザ・優等生な千尋のように、ぴしっとした格好じゃないけど……。 「そんなに酷いか? これ」 「はあ……まったく」  千尋は溜め息をつきながら、あたしへ歩み寄ってきた。 「また派手に暴れたの? それとも何か意図があって?」 「どっちかってーと後者かな。なんか、ぴしーっと綺麗なのに苛立って」 「完全に前者じゃないの……ほら、髪くらい整えてあげるから。ゴム出して」 「ん。頼む。姉貴がいないから、結んでもらえなくてさ」  あたしは真っ赤なゴムを出して千尋に渡す。鞄を抱え直して、千尋があたしに手をのばしてきた。くすぐったい感触を我慢しながら、結び終わるのを待つ。  
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