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あたしの居場所は、ここなのだろうか。
「――行きましょ? 火影」
「お、おう」
壱の表情の薄い瞳。
―――強烈な威圧感。
「どうかした、火影?」
渚の人懐こい笑顔。
―――痛烈な恐怖感。
「なんか、変だよ……?」
千尋の心配も。
今は――怖くて、恐くて、強くて。
「――何でもねえよ。いくぞ」
あたしは眩暈に必死に耐えながら、いつもながらの完璧な仏頂面で応えた。たぶん誰にもばれてない。常に同じ表情だ、例え目の前で誰かが死んでも顔色を変えない自信がある。
……10年の付き合いすらも信じられないあたし。
そりゃそうだ。
あたしは、愛を知らないんだから。
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