1.ヒト

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 あたしの居場所は、ここなのだろうか。 「――行きましょ? 火影」 「お、おう」  壱の表情の薄い瞳。  ―――強烈な威圧感。 「どうかした、火影?」  渚の人懐こい笑顔。  ―――痛烈な恐怖感。 「なんか、変だよ……?」  千尋の心配も。  今は――怖くて、恐くて、強くて。 「――何でもねえよ。いくぞ」  あたしは眩暈に必死に耐えながら、いつもながらの完璧な仏頂面で応えた。たぶん誰にもばれてない。常に同じ表情だ、例え目の前で誰かが死んでも顔色を変えない自信がある。  ……10年の付き合いすらも信じられないあたし。  そりゃそうだ。  あたしは、愛を知らないんだから。  
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