鈴木の油断

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「ふむ。興味深い話だ。その船とやらを直せば、もう一度それは動くのか?」 一体なにを言い出すのかと思いきや、そんなことか。 「はい。しかし、道具がありません。」 「なるほど。ならば我々が道具をお貸しいたしましょう。だが、いま手元に無いのだ。」 「そうですか。」 「しかしいい方法がある。」 「いい方法とは?」 「我々の星まで来てもらえるならば、お貸しできる。なーに。スズキ殿は我々の船で運びます。船の方は、我々の船に積み込んで行ける。いかがかな。」 ………ここで断ればどうなるだろうか。別に死にたいわけではないので断る理由などないが、あの生物と行きたいわけでもない。だがボイスが無ければ鈴木自身が動けない。 「わかりました。お願い致します。」 そう鈴木が言うと、 「承知した。では行こう。」 鈴木は頷き、早速五人の後をついて行き、船まで案内される。 案内された船は、とてつもなく大きく、鈴木の船などちっぽけな模型のように見えた。 巨大な船から三本指の手のようなものがのび、鈴木の船を運び入れた。鈴木はそのあとに残ったボイスの部品を拾い集め五人の船に乗り込む。 「エンジン起動。セット。運転開始。」 エンジンのモーターの回る音と共に船が揺れる。そのまま空中にホバリングし、一気にその星から脱出した。 気が付くと、先ほどの星がすぐに小さくなっていった。 「時間は暫くかかるが、そこは勘弁してくれたまえ。」 鈴木は一度だけ首を縦にふり、もう一度外の景色を眺めた。
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