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「スズキどの、先程の場所は離着陸専用の場所で、あちらにみえるのが……………」
イルビィは観光のガイドのように鈴木にあちらこちらの建物の説明をしている。
しかし鈴木は気が気でないため頭に入って来なかった。
身体中が恐怖や不安で押し潰されそうだ。
しばらく歩いていくと、ひときわ目立つ建物が見えてきた。
あれが入国許可を申請する場所のようだ。
五人に先を促され、中に入る。少し埃っぽい。
入口を通り抜けると、受付らしいものがある。
後ろの五人とにたりよったりのカトラル人がそこに座っている。
「お前はなんだ。」
そのカトラル人に話しかけられたので、
『人間という地球人です』
と説明をした。
鼻で笑われながら渡された紙とペンで名前と滞在期間を書いた。
紙が涙で少しシワになってしまった。
悔しさはおさまらなかったが涙をこらえ、五人のもとに戻る。
「スズキ。大丈夫?地球人はここいらより少し遅れていると思われているの。謝るわ。ごめん。」
リーパーは鈴木の気持ちを汲み取って謝罪した。
「遅れている、か……」
鈴木は少し納得した。
彼らの考えは間違ってはいないのだ。
物思いにふけっていると楽しげにイルビィが、
「スズキどの、道具を取ってくる。先に行って待っていてくれ。」
と言ってゴリラのような走り方で去っていった。
はやく宇宙船を、ボイスをなおしてここを出発しなくては。
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