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ユウキもそちらを見てみたが何も変わった様子はなかった。大通りの中央ラインには川が通っており、川幅は三十四、五メートルある。人が降りれる桟橋のようなところもあるが、南大通ではほとんどそれはない。理由として挙げられるのは、海に直結しているために大型魚やら時には危険な魚種が入り込むこともあって危険とされているからだ。
少なくとも、ラミアの視界内には何も気に触れるようなものはないはずである。
「おい、どした?」
「い、いえ。なんでもないです」
前髪を横にやって、言葉を濁した。
確かにないもないが、何かありそうな雰囲気ではあった。しかし、視覚では確認されない何かがあるのだろうと思った。
「殺気でも感じたか? 気のせいだろ? そんな深刻な顔するなよ」
ぽんと彼女の肩に手を乗せると彼女はこちらの顔を見て安心したのか、こわばった顔が解け、ユウキも笑って見せた。
彼女の歩く速度はさっきまでとは異なったテンポになっていた。相変わらずマントの方は彼女のテンポに合わせるだけであった。
ユウキは彼女の足元を見てみると、彼女はやけに重そうなコンバットブーツを履いていた。
「ラミアのそのブーツ重くないのか?」
「これですか」
立ち止まって彼女は指をさしてきた。別に見せて欲しいといったわけでもないのに彼女は、足元のマントを上げて見せてくる。
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