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   陽はとっくに沈んでいたが、三連休の初日という事もあって、大通りにはまだ人気も残る時間帯でもあった。  リベルクーラ王都の中央の王宮を囲むようにして建造された街並み。その王宮を十字の中央となるように東西南北に走っている大通りがある。それぞれに名称があり、区域別にも分けてもいた。南区域は海に面している方角で名称を〈ホワイトブルー〉と呼んでいる。その地区にあるいつもの飲みなれているバーにユウキ・レデュームはいた。  バーは明るくもなければ暗くもないと言った感じであり、悪くない雰囲気であった。しかし、客は彼を除けば三人しかいない。その三人は固まって同じテーブルに座っていた。まあ知り合いか何かだろう。ユウキは常連客でもあるためカウンターの席に一人で座ってバーテンダーと世間話をしていた。 「あんたも王様なんだから、しっかりとやって欲しいものだよ」  バーテンはグラスを磨きならがそう言ってきた。バーテンは銀髪をオールバックにして屈託のない笑顔をいつもしている。  ユウキは手にしているグラスの氷を見下ろしながら、 「そうしたいんだが、あいにく俺は大臣たちに任せることに決めたんだよ」  思い出したかのようにバーテンは質問をしてきた。  
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